給与のデジタル払いが解禁
カテゴリー: 社員日記

4月は新学期、新社会人、新年度といった新しい環境での生活が始まる月ですが、私たちの生活に関連した法改正が多い季節でもあります。

厚生労働省が2022年11月に交付した「デジタル給与の導入に関する労働基準法の改正省令」が4月から施行され、給与のデジタル支払いが解禁となったことをご存知でしょうか?
給与のデジタル払いとは、電子マネー(デジタルマネー)で給与を支払う制度で、PayPayやメルペイ、LINE Payなどに給与が直接チャージされるものです。

個人的には現金支払い派ですが、70代半ばの母親がPayPayを使いこなしている姿を見ると、給与のデジタル化も時代の流れなのかなと実感します。

電子マネーを頻繁に使う方にとっては、給与が直接、スマートフォンの決裁アプリに電子マネーとして振り込まれることで利便性は高まります。
ただ、今回の法改正でデジタル給与の受け取り先として指定できるのは「資金移動業」として登録のある業者に限られ、SuicaやWAON、nanacoなどのポストペイ式の電子マネーは対象外であることには注意が必要です。

企業にとっては給与の振込手数料が安くなる可能性に加え、給与支払いの選択肢としてデジタル支払いを導入していることでのイメージアップが図れます。
その半面、新たに労使協定の締結や書類の完備、「ボーナスだけデジタル給与」、「毎月の給与のうち3万円だけをデジタル給与として受け取る」といった指定も可能であるため、給与計算業務の煩雑化を招くこととなります。

また、給与のデジタル払いには銀行口座の登録が必須であり、国籍の関係で銀行口座の開設が難しい外国人などが利用できないといったデメリットもあります。
国の人手不足対策としての外国人雇用の促進や、給与のデジタル払いによる幅広い人材の確保という思惑とも相反することにもなり、今後の動向が気になります。

いずれにしても、給与支払いに対応した資金移動業者からの申請は始まったばかり。
厚生労働省での審査には一定の期間を要するとみられ、私たちが利用できるようになるのは先のことのようです。

現実的には、家賃や公共料金の支払いなど、日常的に現金が必要な場面もまだまだあり、これらの電子マネーでの支払いが実現することも給与のデジタル払いの普及には必要かも知れません。